適度な運動は弱った心臓の機能を回復させます
心筋梗塞、狭心症、心不全など循環器疾患の患者様は心臓に負担がかからないように「安静にしておかないと…」と思いがちです。しかし、それは正しくありません。心臓に病気のある患者様でも、早期から身体活動や運動を継続することは、骨格筋や心筋の生理機能を改善させ、死亡率を低下させることが知られています。
それでは心臓病の患者様はどのような運動をすればいいのでしょうか。やみくもに運動を始めても効果がないばかりか、危険なこともあります。正しい運動療法のメニューに従って運動を継続してください。それが心臓血管リハビリテーションです。
それでは心臓病の患者様はどのような運動をすればいいのでしょうか。やみくもに運動を始めても効果がないばかりか、危険なこともあります。正しい運動療法のメニューに従って運動を継続してください。それが心臓血管リハビリテーションです。
当院のリハビリテーション室
心臓血管リハビリテーションの対象疾患は?
狭心症 | 大血管疾患(大動脈瘤や大動脈解離) |
心筋梗塞 | 慢性心不全 |
開胸術後(冠動脈バイパス術など) | 閉塞性動脈硬化症など |
安全に体力向上していけるようモニター機器など利用しながら運動療法を実施しています。 自転車こぎなど難しい場合は、個別に合った運動を実施します。
当院での心臓血管リハビリテーションの様子
心臓血管リハビリテーションの効果は?
心臓や肺の機能がよくなり、楽に動けるようになります。 | |
筋肉や骨も鍛えられます。特に足は「第二の心臓」といわれ、心臓のはたらきを助けます。 | |
血管を柔軟にし、動脈硬化の元になる危険因子(糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満)の進行を予防します。 | |
血液がさらさらになり、血栓ができにくくなります。 | |
不整脈が減ります。 | |
心筋梗塞の再発や突然死が減ります。 |
どのような運動を行うのですか?
心臓血管リハビリテーションでは一般的に、以下のような内容の運動を行います。
運動の種類
歩行や軽いジョギング、自転車こぎなどの有酸素運動が基本です。
運動の強さ
「ややきつい」と感じる程度、軽く息がはずみ汗ばむ程度の強さです。
運動の時間
30分~60分です。15分~30分程度の運動を2回に分けてもかまいません。
運動の頻度
できれば毎日、週3回以上が理想です。
実施可能な運動は人それぞれ異なります。運動をするための目的も異なります。競技に参加して優れた成績を収めることを目指している方もいれば、健康の増進を目的に運動をする方もいます。一方では、疾病や障害があって、思うように運動ができない人もいるはずです。運動を継続することは健康長寿への第一歩です。心臓や血管に病気をお持ちの患者様が一人でも多く、日常生活の中に規則正しい運動を取り入れていただけることを願っています。